第一章 O Fortuna 『おお、運命の女神よ』

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第一章 O Fortuna 『おお、運命の女神よ』

おお、フォルトゥナ(運命)よ 月のように 姿は変わる 常に満ち 常に欠ける 不快な世もつらいのは一時、 次には気まぐれに喜びを与え、人の心を弄ぶ 貧困も権勢も 氷のごとく溶かし去る 恐ろしく 虚ろな運命よ 運命の車を廻らし 悪意のもとに すこやかなるものを病まし 意のままに衰えさせる 影をまとい ヴェールに隠れ 私を悩まさずにはおかない では、なす術もなく 汝の非道に 私の裸の背をさらすとしよう すこやかなるものも 美徳も 運命は私から追いやり 苦しめ 思うがままにさいなむ。 今こそ ためらわず 弦をかき鳴らせ 強き者すら打ち倒す運命の一撃に 皆の者よ、私とともに泣くがよい!
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