第一章 O Fortuna 『おお、運命の女神よ』

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パリ シャルル・ド・ゴール空港 ここにとある二人の日本人が到着した。 一人は容姿端麗、頭脳明晰、財閥令嬢、さらに剛強嬌媚(ツンデレ)を併せ持った、パーフェクトな女性。 もう片方も負けじと中性的な顔立ちで高身長、堂々とした佇まいななかなかのイケメン。ただし中身は残念なところも多い。 紫苑「やっと着いた~。何度乗っても疲れるよなぁ。」 はじぽん「これくらいで根をあげないでよ。まだ船のたびよりマシよ。」 紫苑「船だったら厨房とかあるしな。暇つぶしはいくらでもありそうだ。」 はじぽん「ふふっ。もうすっかり板についてるわね。この大会終わったらプロになったら?」 紫苑「うーん。どうだろうなぁ。プロって言っても別に自分の店を持ちたいとかは無いしな。それはおいおい考えていくしかないわな。」 男性のほうは名を紫苑という。こう見えてもとある料理大会の日本代表である。 女性のほうはその付き添いで来ていたのだった。 日本予選では信じられないような奇跡を体験した二人だったが、 この遠い異国の地で、それすらも小さな出来事と思わされるようなことに巻き込まれるとは、この時は予感すらなかった。
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