最終話

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松井 汰句(まつい たく) 今年も春がやってきて パラパラと桜が散っていた ピンクに染まった1つのお墓を、沢山の桜が囲む 「由梨、逢いに来たよ(笑)」 由梨が大好きだった、百合の花を持って お墓の前にしゃがむ “私、自分と同じ名前の百合の花が好き 大きくてまるで、内心の気持ちもオープンして出している感じが とても良い(笑) 汰句も、そう思わない?” 「…俺も百合の花、好きだよ 花言葉は、『威厳、純潔、無垢』 由梨にぴったりの言葉かな… 俺、高校生の時はまぢで人生由梨一色だったから 由梨以外の未来とか考えたことなかったし。ましてや、俺の人生から由梨が居なくなるなんて考えたことなかったけど 今では、もう少し自分に出来ることを考えて人生を歩いていこうと思ったよ」 目をつぶって、由梨に問いかけるように言った 「本当に、ありがとう。」 お墓に百合の花を置いて立ち上がる そして、ポケットから手紙を出して、百合と一緒に添えて置いた
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