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◆◆◆
「風、大丈夫アルか?」
目が覚めると、菲が心配げな表情で俺の右目の下を親指で掬いとった。
どうやら寝ながら涙を流していたらしい。
恥ずかし過ぎる。
一番見られたくない人に見られてしまった。
くそっ、と内心毒づきながらも、ふと周りがやけに騒がしい事に気が付いた。
……いや、まぁ確かにこのクラスの連中は毎回祭のように騒がしいが。
しかし、周囲を見て何となく察した。
宴会だ。宴会が開かれてる。
俺が周りをポケーッと見回していたのを感づいたのか、菲が俺の頭をグシグシと撫でながら現状を説明してくれた。
「ネギ坊主の歓迎会してたアルよ。
モチロン、風のお肉は確保済ネ」
そう言って出された皿には唐揚げや肉まん等の肉料理がぎっしり。
ムハーッ!
菲、愛してるぜ!
と心の中で叫びながら、喰えるものなら喰ってみなと言わんばかりに主張する、どデカイ肉まんにカブリ付いた。
カブリ付いたはしからブワッと肉汁が溢れだす。
あー、幸せ。至福だぜ。
今日は食うか寝るかしかしてないけど、別に良いよな。
「やぁ、風君。
君は相変わらず美味しそうに食べるね」
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