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「ど、どうって。
うーん……毎朝バイト頑張って……しっかりしてるし……
明るくて元気ないい子だよな」
冷や汗滴ながら出た答がそれか。
まぁ、質問自体漠然としてたがそれぐらい察しろよ。
ああ、察したから答えづらかったのか。
大変だな、中年教師。
ウーロン茶飲むか?
注いでやるよ。
2リットルのペットボトルを両手で抱え、二足歩行を駆使しタカミチのコップに注いでやる。
「お、おっと済まないね風君」
「「キャー!
風君が高畑先生にウーロン茶注いでる!!可愛いー!!」」
クラスの女共がキャーキャー騒がしいが、全くこれだからモテる男は困る。
俺には菲という心に決めた女――
「風君!溢れてる溢れてる!!」
――おっと、失敬。
ペットボトルを慌てて縦置き、溢れたウーロン茶を台拭きで拭き取る。
自分のケツは自分で拭かないとな、うん。
◆◆◆
ウーロン茶を拭いた台拭きをトイレの水道で洗い、教室に戻る帰り道。
階段の踊り場。
「アスナさん!」
「ちょっ…ついて来ないでよ!」
「今、僕の本見たら惚れ薬ってゆーの載ってるんです。
4ヶ月位あれば研究出来ますから!!」
「ついてこないでってば!」
な、何事!?
俺のいない数分の間に何があったよお前ら!
よ、よし。
ここは物陰に隠れて様子を見よう。
邪魔しても悪いしな、うん。
やぶ蛇やぶ蛇。
と、呪いの呪文を唱えながら物陰に隠れる俺をよそに、修羅場らしき何かは次の局面を迎えていた。
「……いいって言ったでしょ。
どうせ……
ただの片想いだったし……」
ほ、ほんとに何事ー!?
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