一月 七草

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 だのに、今週に限っては事情が違った。遅い正月休みで、従兄が叔母らとやってきたのだ。二つ年上のこの小児は小学生であるから、いくらかならば漢字が読める。ひらがななぞは当たり前に読み書きできる。しかも、彼は大輔に劣らず読書好きで、母の親指ほどの厚さのある本を一日で読み終わってしまったらしいのだ。そんなやつのいる家の中で、大輔が威張れる道理はなかった。大輔の読む本といえば、まだ絵本ぐらいのものだった。従兄は、それを馬鹿にするわけではないし、むしろ一緒に絵本を読んでくれるのだが、大輔はそれも悔しかった。
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