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「悪い霊が取りついているんだよ。だから、姫神になれないんだよ」
と、呪文のように繰り返しながら、棒を振り上げて…下ろす。
何度も何度も出来た、アザが紫になった頃に、いつもは食べ物を持ってくる人達が、本堂に入ってきた。
やっと、助けがきた。
と、手を伸ばすと、その手を知らない人がとる。
「もう、大丈夫ですから。もう…」
語りかけるように繰り返す声に、良かったと安堵すると同時に、小声で話す声が耳をかすめた。
「悪い霊はもう、この子にはいないんだな?」
「はい。もう、成仏しました」
お坊さんのような人は、気持ち悪い笑みを浮かべて、本堂から出ていく。
話の内容を聞くと、それは…この人達が仕組んだことだということ。
すぐに伸ばした手を振りほどこうとすると、優しかった目がつり上がる。
それからは…服を脱がされ、触られ、嫌がる僕を無理矢理犯し、半月が過ぎたある日、目が覚めると本家に帰ってきていた。
これが、僕が抱えた『過去』であり、関わった『事件』だった。
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