Chapter 3

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ボーっとしていたのか、私が前を向いた時には、あのおじさんが私に微笑みかけていた。 「フロントでございます」 「あ、すいません……。  ありがとうございました」 「どうぞ、ごゆっくりとお過ごしください」 丁寧に頭を下げて、彼は去っていった。 私も軽く会釈をし、それからフロントに向き直る。 そして、そのフロント係のお姉さんが、モデル体型の美人さんだった。 満面の笑みを浮かべ、デパートのアナウンスのような声で私に話しかける。 「いかがなさいましたか?」 「あ、あの、チャットウィンさんに呼ばれてきているのですが……」 「お約束でしょうか」 「はい、お昼にフロントに声をかけてくれと言われています」 「お名前をお願いします」 「守野、薫です」 「確認いたします。  少々お待ちください」 さすがに、すぐには通してもらえないらしい。 それはそうだろう。 フロントのお姉さんは、相変わらずの笑顔のまま一礼して去っていった。 それから三分後、彼女がフロントに戻ってこない。 おかしい、と思い始めた頃、背後から声をかけられ、私は飛び上がってしまった。 そこに立っていたのは、ダークスーツの男性一人、それから、ホテルの制服を着たお姉さんが一人。
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