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学校の近くまで来ると、同じ制服の生徒がちらほら見えた。 その中で、私の大好きな人物の姿が見えたときには、はっきりとした声で呼び掛けていた。 「ひかりぃー!」 私の声が届いたらしく、彼女はすぐにこちらへ駆け寄って来た。 彼女は、夏川 光(ナツカワ ヒカリ)。高校になって知り合った友達。親友とも言える存在なの。 「おはよっ。美穂」 私の目線よりも上から話しかける彼女は、一般的に言う“可愛い子”ってやつだ。 背も高く、色白な肌に際立つ、大きくはっきりとした瞳。そんな瞳で、しかもこんなに間近で見られたら、世の男は一瞬で恋に落ちるだろう―― そんなことを考えていたら、私が話を聞いてないみたいな感じになっていた。 「美穂? 聞いてるの?」 「あ、うん。ごめん。おはよぉー」
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