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上を見上げると、目の前にはイケメンがいた。
この“イケメン”って言葉だけで皆様の経験上、素晴らしい人物像が出来上がるはず。
まあご想像の通り。目の前のこの人の容姿はとてもレベルが高いと思う。
長身。すらっとした身体の上に君臨する、完璧なまでに整った顔立ち。すっとした鼻に、ニキビ痕ひとつない色白な肌。はっきりとした綺麗な二重。
――だけど、私は苦手かな。顔がいい人って、だいたい性格が悪い。これ、私が17年間生きてきて身につけた勘。
大抵の馬鹿な女はこういう奴に騙されて人生につまずくものなのでしょう。
そんなことを考えながら、ぼーと眺める私と眼が合った“そいつ”は、座り込む私に向けて手を差し延べた。
「……立てそう?」
そんな言葉を発しながら。
突然の出来事に、周囲にはちょっとした人だかりが出来ていた。
そして私は――
「……うるさい」
そう言ってそいつの手を払い、自分の力で立ち上がった。
周囲からは予想通りの声。いやそれ以上の罵声が聞こえた。
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