オープニング

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「そんなことより、寒くないのかい?」 「お兄さん寒いの嫌い?私も嫌いだけど平気。これ持ってるから」 再びにっこりと笑うと、少女は黒いワンピースのポケットから文字が刻まれた小石を取り出した 「これね。火の加護って意味なの。これ持ってると体が暖かくなるんだよ」 持ってみてーとの言葉と共に手が差し出される 「ありがとう」 受け取ると、体の芯からじわじわと暖かくなり始める (これは……) 小石を思わず凝視する 「お兄さん」 「…なんだい?」 少女がじっと目を見つめてくる 「それ、お兄さんにあげる。あとね、お兄さんの友達がお兄さんの事探してるよ。早く礼拝堂に行ってあげてね」 「平賀が僕を?」 「名前は解んないけど。日本人だって。私ももう行くからさ」 「行くって、何処にだい?」 「この中。相方が用事できちゃったから、私が先に来て待つことにしたの。そしたら早く着きすぎちゃったんだ」 そう言って立ち上がる 並んでみれば随分と彼女は小柄だった 「暇潰しに付き合ってくれてありがと。バイバイお兄さん」 「君、これ」 「あげるってば。信じてくれたお礼ー」 そうして振り返らずにひらひらと左手を揺らす 赤いマフラーが風にたなびく様は絵画のようだった 「早く行かないと擦れ違っちゃうよ~」 「あ、あぁ。ありがとう」 暫くその後ろ姿を見つめると、ロベルトは礼拝堂へと足を向けた
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