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「…それで?」
冷静に続きを促す声
視線をそちらにやれば、壁に凭れて腕を組む個性的な色彩を持つ青年がいた
「はじめまして、カルマ・ヨダ・グードルーンです」
苔を思い起こさせる深い緑色のショートにややきつい印象を受ける金色の瞳
少女とは違い此方は長身である
ハンサムな顔立ちは女性にさぞやもてるだろうと思わされた
(美男美女コンビだな…)
「僕はロベルト・ニコラス。宜しく」
「私はねー。伽藍・マリア・フォーリアだよ~。伽藍は漢字」
「寺の建物…と言う意味ですね。珍しくて綺麗な名前です」
「ありがと~そちらは何て名前ですかー?」
「私は、平賀・ヨゼフ・庚と申します」
伽藍と平賀が会釈する
「もしかして…私がロベルトを探して居ると伝えて下さったのは貴女ですか?」
「妖精が何時もと逆だって言ってたから。合ってたなら良かったよ~」
朗らかに伽藍は笑う
「伽藍。それくらいで良いだろ。サウロ大司教、お話を」
キリがないと判断したらしいカルマが声を掛ける
笑顔でそれを見守っていたサウロは少し残念そう言葉を紡ぐ
「平賀、ロベルト、君達二人には奇跡調査に行ってもらいたい。伽藍とカルマをつれて」
「どう言った内容ですか?」
平賀の問いにカルマが動く
「こちらが申請書です。平賀神父」
「ありがとうございます」
平賀とロベルトは並んで申請書を確認する
「…天使の祝福の奇跡?」
「どう言うことですか?」
その言葉には伽藍が応じる
「申請して来た教会は、代々セバスチャン・ミカエリスの名を継承したものが司祭を務めることになっている。そして、その継承式にて…天使が祝福に現れる」
そこまで語ると、伽藍は肩を竦めた
「話だけなら、聞いたことはあるけどね。今までの{セバスチャン・ミカエリス}は、それを大々的に公表しようとはしなかった。けれど、今回の{セバスチャン・ミカエリス}は違った」
彼は愚かにも、その栄光を自分だけのものにしたがった……
独特の雰囲気を纏って伽藍は詠うように告げる
「件の教会からは申請書と嘆願書が届いてます。天使の祝福を奇跡を認めろと言う{セバスチャン・ミカエリス}の申請書と、絶対に認めてくれるなと言う教会の方々の嘆願書が」
二人の言葉に平賀が呟く
「それは…厄介ですね…」
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