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どうやらまだ寝ている者がいることに気づいて人数を数えだしたようだ。そういえば人数までは数えてなかったと思い、僕も目で数え始める。
(12人……か。)
「他のみんなも起こした方がいいかしら……」
お姉さんがそっと言う。
「そうだね、何か知っている人間がこの中にいるかもしれない。」
連れ去られる時に犯人の顔を見た者がいるかもしれない。とにかく今は情報が必要だ。それに、人数が多ければあのドアも開けられるかもしれない。
そう考え込んでいると、二人がすでに皆を起こし始めていた。僕は近くに寝ていた二人の肩を無言で叩く。
全員起こし終えたのを確認して、僕は続けてあるものを探す。多分窓の近くにあると思うのだが――
(……これか?)
暖炉の近くにスライド式のスイッチが二つあった。迷わず両方とも横にスライドさせてみる。
すると、全ての窓のカーテンがレースのカーテンとともに一斉に開いていく。どうやらここだけは電気が来ていたようだ。
「暖炉の横にあったよ、スイッチ。」
そう言って振り返ると、部屋全体に外からの光が差し込んでいた。
僕は思わずハッとした。それは、この集められた人間の中に長年ずっと思い続けて来た人によく似ている人がいたからだ。
まさかと思いながら僕は、懐かしさと嬉しさで胸がいっぱいになるのと同時に、言いようのない苦しみが大きな鎖となって体中を締めつけていくような気がした。
「皆さん、明るくなったことですし、まずは落ち着いて座りませんか?この部屋からは出られないようですし。」
僕に巻き付いた見えない鎖は男性の言葉で一瞬のうちに掻き消える。僕はホッと息をついて、一番近くのソファーに手をついてそのまま座り込んだ。
他の者も全員座り終えた時、眼鏡の中年男性が立ち上がって話し出した。
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