男と猫

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  「私は、一体、あなたが何故そのようなことを満足気にしているのか理解出来ませんでした。わたしはたまらず、もと来た道を戻ってマンションの部屋に帰りベッドに入りました。それは長い一夜でした。あなたが三時頃、家に帰りわたしのそばのベッドに入り寝息を立てて寝てからも私は朝まで眠れませんでした。そして私は納得したのです。あなたの睡眠にはあの行動が欠かせないんだと言うことを。人が無理せずよい睡眠を得るためにはたとえ奇怪な行動だとしてもそれが必要なんだと言うことを。でも、理解して欲しいの。離婚した原因はそこにあったのではないことを。正直言って私には好きな男性がいたの。あなたのことを嫌っていたわけではなく、彼は私にとって必要な存在だったの。奇怪な行動は別に、私にとって、あなたの浮気とか変態とか私が判断したわけではないのです。人生が滞りなく過ごすためだったら何だって許されてかまわないと思います。何故、そうしたかったかなどというのはわからなくてもいいと思うのです。でも、ごめんなさい。私はあなたと離婚した。」      僕はそこで、ある考えが浮かんだ。ある種の満足感があったとしても、人生は流れに抗しがたいものだということを。たとえば水が流れやすい方に流れる如く、決して流れ難い方へは流れないように。   そして、今日の買い物の品々を思ってみた。ピーマン?オニオン?ズッキーニ?バジルとセージ?--------? 果たして何が出来るんだ?僕は考え違いをしていたのか?何を作ろうとしていたんだ?僕は思い直し、最後の便箋の二枚を読んだ。   「私に好きな男性が現れたと言うことは、必然だったのです。あなたと違って男らしいと言うわけではありませんが、私にとって未知な存在だったのです。私とは異質だったのです。あなたの奇怪な行動は私は理解しようとしませんが、私にとって認められる行動なのです。要は、決定的な要因は、もう元には戻れないと言うことです。私があなたの秘密を知った前からその発端は始まっていました。ひとつ、あなたに質問します。あなたは私のすべてを必要としていましたか?この答えはいつでもいいです。機会があったら教えて下さい。私は今、とても幸せな生活を送っています。どうぞ、あなたも幸せな人生を歩んでください。」
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