男と猫

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  僕は二年前から犬を飼った。犬種はスコッチテリヤだ。色は茶色だ。本当はゴールデンレトリバーが欲しかったのだが家にそれだけの犬舎を建てるだけのスペースがなかったのでやむを得ず小形犬にした。でも今ではすっかりぼくになじんでいる。僕は毎朝、テリヤ君、こう僕は呼んでいる、を連れて町の奥まったどん詰まりの原っぱ、広場といったらいいだろうか、そこへ散歩に行く。テリヤ君の歩みはのろい。僕もゆっくりそれに合わせてゆっくり歩く。決して急かしたりはしない。もともと僕は犬が嫌いだった。しかし、熱帯魚を買おうとしてペット・ショップに行ったら、犬の檻の中でそのスコッチテリヤが僕を見て、僕を買って、と話しかけてきたのだ。僕はそれに応じた。犬と話せるなんてめったやたらとある訳ではない。そもそもの話の始まりはそこからだ。
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