回想、遠慮します。

8/12
前へ
/541ページ
次へ
週末、慌ただしく俺は開店準備をこなしていた。 (……マスター遅いしっ!) 壁掛け時計で時間を確認すれば、本来出勤している時間から30分過ぎていた。 カランッ 「マスター遅刻!」 扉についているカウベルが鳴り、確認もせずに声だけかけた。 「とっとと着替えて…」 振り向き、扉の方を見れば見覚えのない連中が店内にいた。 皆一様に、気持ち悪い笑みを浮かべて…。 「………お客様、まだ当店は開店しておりません。」 口から出るのは3日前にも言った台詞。 「お引き取り願います。」 「イッヤでーす。」 気持ち悪い笑みのまま、答えたのは中央にいたドレッドヘアーの男。 (なんなんだ…?) 「冬也-トウヤ-さ~ん、この子すんげぇ貧乳じゃん。つまんなそー。」 「スレンダーって言ってあげなよ、可哀想だろ?」 冬也と呼ばれ、答えたのは中央のドレッドヘアーの男。 名前と特徴からしで四季゙の如月 冬也-キサラギ トウヤ-で、間違いなさそうだ。 絶望感に、モップの柄を強く握りしめた。
/541ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3530人が本棚に入れています
本棚に追加