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強さに興味を持てず、鍛える気がなかった為、俺は喧嘩らしい事は出来ない。
一応の抵抗も虚しく、数分もしない内に俺は呆気なく捕まってしまった。
「離せっ!!」
「口悪いなぁそれが素か?」
もがいていると、冬也と呼ばれた男に顎を捕まれ上向かされる。
「姫を惑わせる悪い子だしな。」
「……一姫さんは勝手に来て、喚くだけ喚いて帰っていっただけです。」
目の前の男を睨みつけ言えば、苛々しているのがわかる。
「テメェが色仕掛けで彼女になった癖に何言ってやがる!」
「……………………………はぁ?」
(ちょっと待て…どういう事だ?)
理解しがたい事を言われ、困惑している俺に気付かず、冬也は話を続ける。
「可愛かったから彼女にしたのに、冷たいって姫が泣きついて来たんだぞ!」
一姫の思考回路がぶっ飛びすぎにも程がある。
相手の気持ち、了承という言葉はインストールされていないのか?
「………いつ……」
「ぁあん?」
睨み付けられても、怯まない。
「彼女になったってんだよ!」
捕まえられたままの不恰好な姿で叫ぶ。
「勝手に押し掛けて来て、了承もなしに呼び捨てにするわ、挙げ句彼女とか……ふざけんな!!」
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