3514人が本棚に入れています
本棚に追加
/541ページ
閃いた思惑。
「誠一郎さん、ここは学校だから藍住と呼んで下さい。」
「イヤだ、透と呼ぶ。」
視線を合わせようともしない誠一郎さん。
予想通りに嫌がる。
「我儘言うなら、せめて呼ぶのか呼ばれるのか、どちらかにして下さい。」
勇さんが言わずともそうしたように。
「ただし、呼ばれる方を選んで名前呼びしたら…俺は二度と誠一郎さんと呼びませんからね。」
卒業した後も、マスター宅であった時もと付け足せば、黙りこむ誠一郎さん。
こう言えば、呼ぶ方を選ぶだろうと狙っての事。
勇さんでわかった。
呼ばないといけない方は、こちらのリスク…説明が面倒臭い。
「そうですか。選ばないなら仕方ないですね、勇さん俺は1-Aを希望します。」
答えようとしないので、ため息を溢し言うと、慌ててこちらを向く誠一郎さん。
「呼ぶ方にする…でも、たまには呼んでくれよな…?」
頷けば、安心したように抱きつかれた。
相変わらず、過剰な感情表現をする人だ。
(俺は間違って名前呼びしないようにしないとー…)
でもまぁ、頭の中ぐらいはいいか…と、思案しながらお冷やを飲む。
抱きつかれたままなので、大変飲み辛かった。
最初のコメントを投稿しよう!