案内、遠慮します。

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閃いた思惑。 「誠一郎さん、ここは学校だから藍住と呼んで下さい。」 「イヤだ、透と呼ぶ。」 視線を合わせようともしない誠一郎さん。 予想通りに嫌がる。 「我儘言うなら、せめて呼ぶのか呼ばれるのか、どちらかにして下さい。」 勇さんが言わずともそうしたように。 「ただし、呼ばれる方を選んで名前呼びしたら…俺は二度と誠一郎さんと呼びませんからね。」 卒業した後も、マスター宅であった時もと付け足せば、黙りこむ誠一郎さん。 こう言えば、呼ぶ方を選ぶだろうと狙っての事。 勇さんでわかった。 呼ばないといけない方は、こちらのリスク…説明が面倒臭い。 「そうですか。選ばないなら仕方ないですね、勇さん俺は1-Aを希望します。」 答えようとしないので、ため息を溢し言うと、慌ててこちらを向く誠一郎さん。 「呼ぶ方にする…でも、たまには呼んでくれよな…?」 頷けば、安心したように抱きつかれた。 相変わらず、過剰な感情表現をする人だ。 (俺は間違って名前呼びしないようにしないとー…) でもまぁ、頭の中ぐらいはいいか…と、思案しながらお冷やを飲む。 抱きつかれたままなので、大変飲み辛かった。
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