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「ふむ。」
顎髭を撫でながら、勇さんは納得したように頷いていた。
「本庄先生も、藍住君がお気に入りなんだね。」
「……………理事長、透に手を出したら楓が怒りますよ?」
手を出す、ってのは殴るって事?
そんなのあり得えない。
「本庄先生、勇さんは俺を殴ったりしませんよ?」
ね?と、同意を求めれば、勇さんは「そうだとも」と笑って答えてくれた。
「………透は、そうだったな。」
何か納得したように、呟かれた。
しかし、いい加減離れて欲しい。
「…失礼します。」
先程、料理を持ってきてくれた給仕さんが、誠一郎さんが頼んだケーキと珈琲を持ってきてくれたらしい。
香り豊かな珈琲と、チーズケーキはフルーツまで添えられており大変美味しそうだ。
「透、安上がりだが編入祝いだ。食べろ。」
ようやく離れてくれた誠一郎さんが、チーズケーキの皿を俺の前に差し出す。
「…なにコレ、幸せ。」
一口で、蕩けそうになるほど旨い。
そんな俺に、珈琲を飲んでいた誠一郎さんが一口くれと言い出したので差し出した。
「ん、相変わらず旨いな。」
しっとりしたチーズケーキはベイクド。
個人的にスフレよりこちらのが好きで味わって食べる。
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