3525人が本棚に入れています
本棚に追加
「青柳君、わざわざすまなかったね。後は大丈夫だから戻っていいよ。」
高級感溢れるマボガニー材で出来た机と、座り心地のよさそうな椅子に掛けている年嵩の男性が言った。
この人が゙理事長゙
逆光であまり顔が見えないが、身体つきはがっしりしている。
「では、失礼します。藍住君またね。」
軽く手を振り、副会長は部屋から出て行く。
゙まだなどあっては困るので黙って見送った。
俺は、いつバレるかなんて考えたくないんだ。
扉が音を立て閉まり、理事長に座るよう勧められた。
ほどよいスプリング、肌触りのよい革製のソファに身体を預ける。
そして、ようやぐ理事長゙が正面に来た。
(…え……と、勇-イサオ-さんだよな?)
無表情のまま、呆然としてしまう。
副会長だけでなく、二度目の再会に心底驚く。
「ハハハ、びっくりしたかい?アイ君」
だが、副会長と違いこちらば俺゙を知っている人。
「……理事長、゙藍住゙です。」
『君の為に、ボトルキープしようじゃないか!』
綺麗に整えられた髭、年を感じさせない身体。
魅惑的な笑みで、グラスを揺らす。
『…私の為? マスター、勇さんがドンペリ入れてくれるんですって』
『おっと、せめて僕が飲める奴にしておくれ。』
なんて、冗談を言ったのはつい二週間前だ。
最初のコメントを投稿しよう!