3525人が本棚に入れています
本棚に追加
「では、藍住君。ようこそ、堂島学園へ」
差し出された手、その手を握れば引き寄せられた。
ソファから身体が浮き、俺は机の上に身体を乗り上げる。
「理事長、何をされているのでしょう?」
冷静に何事でもないように、目の前に迫る顔に言う。
「さすが藍住君、これくらいでは動揺しないか。」
諦めたように、手を離され元のように座る。
「覚えているのは判っているが、理事長ではなく堂島 勇-ドウジマ イサオ-いつも通り゙勇さん゙がいいな。」
「………全く、勇さん相手じゃやり辛い。」
ため息を吐き、天井を見上げる。
゙俺゙の事を知らない副会長ならまだ良かった。
だが、この人相手では…
「僕は、知っていて助かったけどね。」
音を立てて、机に散らばった書類に目を向ける。
俺の入学書類や試験の答案用紙だろう。
「藍住君、話して貰っていいかな?…一週間前に何が起きたのかを。」
最初のコメントを投稿しよう!