たった1つの大切なボタン。

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ーバンッ 少し乱暴に屋上のドアを開ける 視界の先には俺の大好きな人 「…遅いっすわ」 「っはぁ…これでも走って来たんやで?」 「浪速のスピードスターももう終わりっすね。これからは浪速のヘタレスターで決まりっすわ」 「ヘタレちゃうわアホ!」 不機嫌そうに携帯から顔を上げてチラッと俺を見るとまた携帯の方に視線が移る そんな財前の隣に腰を降ろす 「で、俺に何か用なん?」 「最後ぐらい見届けてやろうっていう可愛い後輩の思いやりっすわ」 「よう言うわ…」 呆れてるように見せてるけど内心めっちゃ嬉しい 俺ニヤけてへんかな?とか思いながら財前が喋るの待っとるんやけど財前のやつ何にも言わへん 沈黙が続く中、財前が携帯をポケットの中に直した 「謙也さん卒業おめでとうっすわ」 「あ…おおきに!」 そんでまた沈黙が続く 「はぁ…なんか後輩に言うこととか無いんですか?」 先輩として後輩に言うことは、 "部活頑張りや" としか言われへん けどな……
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