たった1つの大切なボタン。

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「卒業なんかせんといてや…」 ああ、そういうことか やっと分かったわ ごめんな? これだけはいくら何でも無理やねん… あってるか分からんけどこういうの、避けては通れない道って言うんやったっけ? 気付いたら俺は財前にキスをしてた めっちゃしょっぱいキスやった だって俺も財前も泣いてたんやもん 唇を離せば財前は腕で涙をゴシゴシと拭いながらそっぽを向く 俺も涙を拭う 俺は制服のポケットに入れてたボタンを財前に渡す 「何すか、これ?」 俺が渡したボタンをじっと見ると次は俺の制服をじっと見る 「ぷっ…」 財前が口に手を当てて笑いを堪えてる 「謙也さん古いっすわ」 「なっ…」 「今の時代、第二ボタン渡す人なんかおるんっすね」 「そんなん言うんやったら俺の大事な第二ボタン返せや!」 「嫌っすわ。ボタン無くなったとき用に使うんで」 「俺の第二ボタンちゃんがぁあああ!」 そんな会話をしながら財前は俺の第二ボタンを制服のポケットにしまう
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