第1章 助けられた天使

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普段なら、この部屋へは、たった一人……この城の主だけがやって来る。 それなのに、今日は複数の足音が聞こえ、しかも何かを探しているのか、ガシャリと割れる音や近くの部屋の扉を乱暴に叩き開ける音。 しかし、少女は逃げる訳でも、震えて怖がる訳でもなく、ただ1点を見つめていた。 すると、しばらくして部屋の前で足音が止まり複数の男達の声が聞こえた。 その音に、声を出すでもなく隠れる訳でもなく、ジッ――と扉を見ていると、乱暴に叩かれ、ドアノブを回す音が部屋中に響くが、鍵がかかっているため、中々あかない。 しばらくすると、破壊音と共に扉が破られた。それと同時に、複数の男達が部屋の中になだれ込んで来た。 甲冑を身に纏い、息を乱し、手には血が滴った剣が握られている。男達の視線が室内を見渡した後、一斉に少女を捕らえた。 男達から息を飲む音が聞こえる。 男達の中心にいた若い男が、周りに何かを指示を出すと、こちらへと近づいて来る。
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