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月明かりに照らされる白銀とも金色とも見える不思議な髪色。しかも瞳は右側が青。左が――色の無い白。
無機質で冷たい雰囲気は人では無い気がするほど神秘的で目が離せない。
綺麗……まるで、私を迎えに来てくれた天使様。
「ノエル――――!」
その天使から目を逸らせずにいると、いきなり呼ばれた自分の名前に、その声の主を少女は探した。
壊された入り口に、取り乱した男が一人。
入り口に留まったままの人込みを掻き分け、その男が少女を見つける。すると、目を見開き泣きそうな顔をしながら駆け寄った。
「ノエル……ノエルすまない。本当に……ノエル」
何度も名前を呼ぶ、その人が震えながら少女を優しく抱き締めた。
その時…………頬に温かい雫が伝った。
「……にいさ……ま」
掠れた声は弱々しく、少女が衰弱していることを示している。
2年ぶりに会う、優しい大好きな兄に、一気に思いが込み上がる。
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