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その女性もまた、甲冑を身に纏い剣を手にしている。
ゆっくりと少女の元へと近づくと、顔を覗き込んだ。
「惨いことを……まだ幼い姫に。ここまで人間の心をなくすとは……逃げられると、取り返しの付かないことになる。急ぎなさい」
「しかし!……こんな所に置いて行くなど」
「私が責任をもって連れて行く。こんなチャンスは二度と来ない!行きなさい!」
少女の兄を一括し、早く行くように促す。
すると、迷いながらも少女を女に預け、青い目の男と共に部屋を出て行った。
残ったのは、女と、その護衛達。
「すぐに城を脱出する。その前にアレを探せ。この部屋にある可能性が高い。急ぎなさい」
急かす女の声に頷き、護衛達が素早く動き出す。
その様子を、バルコニーの手すりに優雅にとまりながら見ていた一羽の鷹がいた。
赤い瞳を光らせながら。
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