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「ぐっあ゛…」
声がする方を見ると、智弘は右肩に刺さったナイフの痛さで苦しんでいた。きっと光りが起きた時に、律がナイフをなげたのだろう。
「智弘っ!」
俺は智弘に駆け寄ろうとしたが律が立ち塞がる。
「どけろ!智弘がっ智弘が苦しんでるだろうが!」
声を荒げるが、避けようとしない。
「あの智弘くんは新が知っている智弘くんじゃないの」
「意味わかんないこといってんじゃねぇよぉおおおおお」
握っていた剣を振り上げる、だが
「アリス」
その一言で動けなくなった。いや、動きを止められたという方が正しいか。
律の足元に魔法陣が……魔法で俺の動きを止めたのかっ
「ごめんね新。智弘さんは絶対に傷つけないから大丈夫だよ」
安心させるようにニッコリと笑う。
は!?こいつ、とち狂ってんじゃないか?目の前にいる智弘は今だってあんなに苦しんでるじゃんか!助けないとっ
そんな心の声は届かず、律は床でうずくまりながら苦しんでいる智弘の方へ向かう。
「どう?毒の味は?」
「はぁ…はぁ…ど、く?…そうかっ…ぐっ…」
「光りで油断してたもんね?ま、もうあなたには消えてもらうからその苦しみからは解放されるね」
律はナイフを振り上げる。
っ!やめっ
「バイバイ?」
心臓にナイフを突き刺した。血は床にも律の顔にも飛び散った。
気づけば俺にかけられていた魔法は解けていて、俺は慌てて智弘に駆け寄った。
「…と…智弘っ……んで…なんで智弘を殺した!」
涙を流しながら叫ぶ。
「大丈夫。智弘くんは死んでないよ」
「てめぇ何ぬかしてる!こんなに冷たくな……ってな、い?…え?でもさっき心臓にナイフを刺した、よな?血だってこんなに…」
頭の中でパニックを起こしながら智弘の腕や顔を触る。脈は正常に動いていて呼吸もちゃんとしていた。
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