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よっ、と、淡い赤のスカートがめくれないように上ると、角に座って、足を海側に下ろした。
風は、まだ生ぬるい。
でも何も羽織らないと少し肌寒い。
空を、見上げる。
だんだんと、透きとおったやさしい青が、張り切って輝く赤を包み込んでいく、その過程が好きだった。
青が赤を溶かしていくのを見ていると、龍平が近くにやってきた。
私よりもよほど身軽に防波堤に飛び乗ると、しなやかに音も立てず、無言のまま隣に座った。
手がひとつ分、空いている。
三年前だったら、もっとそばに座ってくれたのに。
ぴったりくっついて、抱き寄せてくれたのに。
何よりも、それに私も素直に寄りかかれただろう。
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