第1話:はみ出し者の学校

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7月に入り、生徒はこの学校のルールに従い、充実した高校生活を送っていた 全校生10名 たったこれだけの生徒だ 噂や悪事など直ぐに分かった 此処では授業が終わると、半数の生徒がバイトをしている だが当然バイトをするには、学校の許可が必要だ 許可書を出して申請を受けていない生徒は、指導の対象となる それでも許可書を出さない者には、今まで稼いだ給与を学校側に返金しなければならない この日も三人の生徒が指導されていた 「この馬鹿共! バイトをしてはいけないとは言ってはいないんだ。許可書を貰って、バイト先の店長のサインを貰って、学校側に提出しろと何度も言ってるだろう?」 「だって面倒臭いだもん。何で態々学校に許可もらわなきゃなんねえんだよ?」 「バイト先でもし何かあったらどうするんだ? お前らが起こした問題を自分達で解決出来るのなら、俺らは何も言わない。だがな、お前らまだ未成年だ! まだお前らが自分で責任を取れる事なんて出来ないだろう!」 「…分かったよ! いいよ、バイト辞めるから。」 「そういう問題じゃないでしょ? バイト代貯めて、何かやりたい事でもあるんでしょ?」 「別に、あんな狭い宿舎の中でボーッとしてんのもつまんねえからだよ。暇潰しみたいな?」 結局バイトを辞めるという事で、許可書を書かない生徒が大半だった そしてもう一つの問題が… 盗難事件である 宿舎の部屋は鍵が掛かっていないため、誰でも簡単に入れてしまう その為、無防備に下着泥棒や、現金が度々盗まれていた 無論犯人も直ぐ捕まるが、下着を盗られた女子は滅入っていた 生徒の意見が飛び交う中、やはり鍵は掛けた方が良いとの声も多くあった そしてバイトの許可書の事についても… 「だからそれを変える必要はない! 許可なしにバイトは禁止だ!」 「自分の事は自分で遣れって言ったの誰だよ!」 「喧しい! お前らまだヒヨッコだろ! 赤塚、バイト先の店長から伝言だ。許可書出すまで休みだそうだ。」 「何で俺のバイト先知ってんだよ!」 「阿呆、この学校にこの人数だ。お前らがやってる事位直ぐにボロが出るぞ?」 夏の暑い日、教室は熱気を帯びていた
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