第1話:はみ出し者の学校

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実は他の教員の協力あっての指導だった 学校を抜け出す生徒を教師が追う この時間帯、何処で何をしているか等をメールで西園寺の携帯に送られてくるのだ こうした教員との連携プレイで、生徒達を見まもっているのだ 「これでも許可書提出しない奴は、バイト代は没収だ! さあ…どうする? 赤塚。」 「分かったよ! 書いて出しゃ良いんだろ?」 「宜しい。はい、許可書だ。この欄に店長直筆の名前と印鑑を捺印してもらう事。そして提出、簡単な事だろ?」 赤塚は納得していないものの、バイト代を貯めて何かをやりたい事があった為、渋々許可書を提出した 7月も中旬に差し掛かり、夏休みの期間が往来 夏休みの課題や、補習授業の準備に追われていた 「もうすぐ夏休みですね? 補習の必要な生徒をリストアップしました。」 「うわぁ…赤塚のこの点数。全教科平均30点以下じゃねえかよ! バイトばっかしてっからだ。」 時々頭を抱えながら、少し安堵の表情を浮かべる 「まぁ、今時の学生じゃないでしょうか? 何かに全力で取り組めるのも、若いからこそですよ。」 ニヤリと羨ましそうに顔を赤らめる須田先生 この須田先生もまた、はみ出し者の一人である 麻薬の所持等で警察に捕まっていた 以前勤務していた学校も懲戒免職になり、途方に暮れていた時、この学校の存在を知ったのだ 「今は感謝しています。また教師として働けるんですから…。もう二度とドラッグはしません。」 はみ出し者…決して言葉は綺麗ではありません だが、汚いものの中に…綺麗なものはある 泥の中から汚れたダイヤがあるとしよう それを磨き、洗えば輝く はみ出した者をまた、心を洗って輝かせよう それが西園寺が目指す教育方針であった 生徒だけでなく、教師も
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