第1話:はみ出し者の学校

9/11
前へ
/159ページ
次へ
当番…学食の献立通り作るのが、西園寺と畑山の仕事だった 「畑か。次の授業に皆に耕してもらうか。」 「なんか言った? 俺が何だって?」 畑山の愛称【畑】その呼び名に答えた 「お前、この校舎の東側に土地あったろ? 彼処に門脇が今度、耕すらしいんだ。」 「へぇ。…ってまさか?」 「次の授業は開拓だからな。理科の授業だ!」 「こんなくそ暑いのに農作業なんかやってられるかよ! しかも学食当番だなんて!」 「そう言うな。お前が作った料理を皆が旨そうに食べてんだからよ? お前も、自分で作った飯は旨いだろ?」 「別に…てか西園寺、それ醤油だろ!」 「あー! いけね。」 料理が大の苦手な西園寺 醤油とソースを間違えて入れてしまった 「やべぇ…門脇に大目玉食らうぜ。」 「どうすんだよ? 作り直す時間なんてねえぞ?」 「いや、そうでもないぞ? 食べてみろ。」 調味料を間違え、味が変わってしまった玉ねぎの炒めもの 「これは!」 腹を空かした生徒が食堂へと集まった 「腹減った。」 「はいはいちょっと待っててね。今日の献立は玉ねぎのソテーと、牛筋煮込みよ。」 『頂きまぁす!』 一斉にがっつき始めた生徒達 一人一人が笑顔である そして作った畑山本人も、皆に自慢気に話していた 「う~ん。何か今日の玉ねぎのソテー味が違うわね?」 「でもさっぱりしてて、食べやすいですよ?」 「御免な門脇、ソースと醤油間違えて入れちまったんだよ。作り直してる時間も無かったし、そのまま出しちまったんだよ。」 「何をどうやりゃ間違うんだよ? ソースの容器にゃソって書いてあるし、醤油の容器にゃしょって文字書いてあるだろ!」 「だから悪かったって。ちょっと考え事してたんだよ。」 「全く…まぁでも結果オーライね。ちょっと薄味だけど悪くないね?」 辛口のコメントだが、何とかやり過ごした事に胸を撫で下ろす二人だった
/159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加