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青空学級の夏休みから1週間が過ぎた
「西園寺先生、後は我々が遣っておきます。先生も休暇を取られてはどうですか?」
「お気遣いは有り難いですが、それじゃ先生方に申し訳ないですよ?」
「何を仰いますか。開校から今日に至る迄、休みを取らず働いたのは西園寺先生だけですよ? 私達は交替で休みを貰います。若いからといって油断は禁物ですよ。」
という事で、先生方の言葉に甘えて休みを取る事になった
翌日am6:25
「本当にすみません。何かあれば電話下さい。直ぐに駆け付けますので!」
「西園寺先生、お土産話待ってますよ。」
実は西園寺、里帰りの予定である
長年地方に赴任していた為、お墓参りも済ませていなかったのだ
「丁度良い機会です。墓を放っておくとバチが当たりますからね? 呉々も気を付けて。」
皆から見送られる中、何処か不安げな表情を浮かべていた
am 8:05 東国際空港前
西園寺は電話を掛けていた
「もしもし、俺だ。」
「兄貴? 珍しい事もあるもんだね。」
「今から10:38分着の便があるから、それで帰る。」
「どうしたと急に? まさか教師に嫌気刺して帰ってくんだな?」
「阿呆か! 随分長い事帰ってなかったからな。墓参りの1つもせんとバチが当たるって釘刺されたからな。」
「ふーん。飯は?」
「それは適当に済ます。夜お袋連れて、何処か食べに行こうぜ?」
「分かった。只、午後からおかを病院連れてくから落ち合おう。」
「病院? 何処か具合でも悪いのか?」
「ん? おかん痛風患ってな。」
「はは、お袋らしいね。んじゃそっち着いたらまた連絡する。」
携帯の電源を切り、ロビーへと向かった
「と、お土産買っていくか。」
売店で適当な和菓子や箱ものを選んでいた
「そういや、こいつ食べたいって言ってたな。」
西園寺が選んだのは、東京名物「ひよこサブレ」
お土産も買い、チケットを受付に渡した
飛行機に乗るのは三年ぶりとなる
窓から顔を覗けば、雲が手に届きそうな感覚だった
到着迄間がある為、持参してきた本を読んだ
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