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ジリジリと鳴るタイマーを止め、保護者にプリントを渡した
「これでこの学校の一般公開を終了します。どうぞお気を付けてお帰り下さい。」
早々と保護者を追い出し、職員室へと向かっていく
「西園寺先生、授業いつ始めるの?」
「早ければ今日にでもするつもりだ。と言いたいところだが、教科書がまだ届いてないんだ。全くどうなってんだ? お前が注文したんだろ?」
「可笑しいわね? じゃあ次の授業は総合学習って事で。」
「総合学習っていっても何をするつもりだ?」
「そうだね。あの子達に買い物でも行かせる?」
「総合学習じゃねえだろそれじゃ。時間割り表でも作らせるか。」
職員室へ向かう最中、新任の教師とすれ違った
「西園寺先生、教科書はまだ届いてないんでしょうか?」
「少し待ってもらえますか? 此方の手違いで今日中には届きそうにありませんので。」
「分かりました。では授業が再開出来るまで各自準備を進めた方が宜しいでしょうか?」
「そうしていただけると此方も助かります。」
軽く会釈し、宿舎へ戻る英語の担当教師斎藤
「あの人、西園寺ちゃんと同い年の?」
「ああ、英語の教師だ。だが、生徒達との絆がうまく取れなくて三年前に教壇を下りたんだ。」
「成る程ね。苦労が絶えないね? 私なんかまだ幸せな人生だったかも。」
「何を言ってるんだ。お前に金の管理は危なくてさせられんからな?」
門脇は過去に、学校の資金を一部横領していたのだ
「あら、台所事情は私に任せて頂戴よ?」
因みに門脇は国語の教論以外に、この学校の…云わば学食の調理担当もやっている
教員免許の他に、調理師、栄養士の資格を持っていたのだ
「そいつはあいつらの腹と相談だ。あまり食費をかけるなよ?」
「今の高校生は食べ盛りなんだから仕方無いでしょ? ならあんたの御飯のおかずは無しって事で。」
「ぐっ、わかったよ。考えておく。」
こうして諸先生方と意見を出しあいながら、学食の経費などを遣り繰りしていく
こんな学校…どうなのだろうか?
次の授業を知らせるタイマーが鳴り、それを止め、またセットする
これを繰り返し、6月が終わろうとしていた
教科書が届き、授業は始まっていた
理科・国語・数学・社会・英語の五教科だが、週に二回程授業が無い日がある
授業がない教論は、各自部屋で次の授業の準備を進めるか、テスト問題を作成するかの何れかだった
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