彼は私の許婚!!

前へ……――。

ｽﾞｷﾝ ｽﾞｷﾝ ｽﾞｷﾝ....

胸の奥が、痛い。

私を置いてアメリカへ行ったのはお母さんたちなのに、今度は『一緒にアメリカへ』なんて……そんなの、酷すぎる……。

「……私、アメリカには行きません」

「どうして？」

「ど、どうしてって……だって私は、浩介さんと一緒にっ……」

「でも、高村さんの言葉は正しいよ」

ふんわりと優しい顔で笑った浩介さんは、私の髪をそっと撫でた。

「子は親と居るべき。 未成年なら尚更」

「……でも、私を置いていったのはお母さんたちですよ？
私は、アメリカで家族と過ごすよりも、浩介さんと一緒に居たいです」

ずっと一緒に居る。

私はそう決めたし、浩介さんだって、そうだと思っていたのに。

……なのに浩介さんは、首を横に振った。

「家族と過ごす時間を、大事にしなくちゃいけないよ」