前へ……――。

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……5年後、私は21歳になっている。 ハタチを過ぎれば、私は自由に浩介さんの元へ行けるようになる……。 「……また、一緒に暮らしていけますか……?」 「うん。 オッサンになった俺を、葉月ちゃんが嫌わないならね」 「……今でも、オッサンです」 「ん、確かに。 でも今は嫌われてないから、『数年後でも嫌われてないだろ』って勝手に思っとくよ」 そんな風に笑う浩介さんを見て、私も少しだけ、笑顔になる。 離れてしまうのは事実だけど、でも、お互いを想う気持ちは変わらない。 数年経てば、私たちはまた一緒に暮らしていける。 ずっと一緒に居られる。 希望は希望のままじゃなく、現実になる。 それを思いながら、私たちはそっとキスをした。
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