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その後の私たちは、平日だというのに映画のＤＶＤを見始めた。
寄り添いながら過ごす『二人の時間』を、少しでも長く感じていたいと思ったからだ。
「……タバコのにおいがしますね」
さっき浩介さんが吸っていたタバコのにおいが、彼の服についてしまったらしい。
普段は感じないにおいだから、なんだか、別の人が隣に居るかのように感じてしまう。
「そういえば、浩介さんがタバコを吸ってるところを見るのは２度目ですね」
「あー……前に公園で、葉月ちゃんが彼氏と居た時が最初だったね」
「はい」
『星が降ってきたみたい』と思うくらい美しい夜景が見える公園。
今は別れてしまった直樹くんと初めてあの場所へ行った時に、タバコを吸う浩介さんと会ったんだ。
「タバコを吸うのは年に２、３度で……実はあれ、親父が吸ってたのと同じやつなんだ。
タバコを吸うと、親父がそばに居てくれるような、そんな気がする」
「あ……そっか」
……あのタバコは、浩介さんのお父さんのにおいなんだ。
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