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「……前に会ったことがあると、お母さんに教えてもらいましたけど……でも私、全然覚えてないんです。
浩介さんのお父さんとお母さんがどんな人だったのか、私はお母さんに見せてもらった写真で想像することしか出来ない。
だから、会ってみたかったです」
浩介さんの手をギュッと握り締めながら、ゆっくりと目を閉じる。
「……会って色々お話して、『浩介さんが好きです』って、ちゃんと伝えたかったです」
浩介さんと会った時、『許婚』という関係に驚き、イヤな気分になったこともあったけど……。
でも今は、許婚でよかったと思ってる。
浩介さんと出会わせてくれたことが、嬉しい。
私と浩介さんの関係を作ってくれた人たちに会いたい。 と、今この瞬間、強く思った。
「……ほんの少しだけなら、会えるよ」
「……え?」
ニコッと笑った浩介さんが、私を見つめる。
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