カミングアウト

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  こうして、俺は堀内と付き合うことになったが、付き合うにあたって幾つか条件を設けた。 “俺はアンタになんの気もない”って言ってるようなもんだったが、堀内はすんなり承諾してくれた。 「女を抱くなんて出来ないから、今まで通り男と関係をもつと思うし、アンタのことを好きになれないかもしれない」 つか、なれない。 「これ、堂々浮気しますって言ってるようなもんだよ。それでもいいの?」 「はい」 「好きとか愛してるとか、そんなの絶対言えないよ?」 「はい」 「付き合ってるのか、曖昧な感じになると思うけど」 「……うん」 「……」 「うん。宜しくお願いします、馬木さん」 初恋は、年の離れた男だった。 付き合ったのと、体を重ねたのも、相手はみんな男だ。 中2の時、友達の部屋で、男女が絡み合っている雑誌を見たことがある。 男にはない膨らみ、丸みのある体。細いウエスト、艶っぽい目。 それを見た瞬間、初めて異性に興味が沸いた。 でも、俺が女に興奮したのはそれが最後だった。 その一度があったから“バイ”だと宣言しているだけで、今は女相手にしたいと思わない。 ネコの意味も知らない堀内が、俺を分かる日は絶対に来ないと思った。 きっと、俺を好きになったことを後悔する。 ――堀内の告白から1週間。 堀内はまだ、俺と付き合っている。  
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