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「ごめんなさい」
――え。
突然ガバッと勢いよく頭を下げると、張りのある声で『お邪魔しました』と言って部屋から出ていく堀内。
ゆっくり閉められていく扉を見つめながら、おっとりしてんのに忙しい人だなと思う。
――キ
あと10センチで閉まるというところで、扉が静止した。
隙間から目元を覗かせる堀内は、
「お……お大事に」
そう囁くと、静かに扉を閉めた。
予想通りの反応をするなと思えば、想像に反した行動に出たり。
なんか、調子狂う。
玄関の重い扉が閉まる音が耳に届くと、そっと目を閉じて今度こそ眠りにつく。
――夢を見た。
なぜか部屋に羊がいて、呑気な顔した羊は俺が撫でようとしても逃げない。
ふわふわの毛に手を沈めても、大人しく触らせてくれる。
きっと温かくてやらかいんだろうなと思うけど、実際に触れたことがないから分からなかった。
でも、ちょっと癒されるな、これ――。
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