入学式

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『君たちは、厳しい困難に耐えて、この私立夜月高等学校の生徒となりました。人生には山があり、谷があり、苦労もあれ……』  ……早く入学式終わらないかな。  1327と書かれた名札を左胸につけて、俺は心を躍らせながら今か今かと、入学式の終わりを待ち望んでいた。しかし、最後の最後で校長の話が入り、俺の高ぶっていたテンションを一気に冷ました。  急に襲ってきた眠気と戦いながら、しばし、校長の薄くなった頭皮を眺めていた。  ――十分経過。 『しかし、本当の敵は自分自身でして、その敵は生涯付きまとい……』  まあ、校長の話というものは大抵、どこの学校も十五分くらいだしな……もう少しで終わるだろう。  重たい瞼をこすりながら、周りの様子をうかがう。
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