Ⅲ🐱かずの猫遍歴

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ここいらで、家主のかずの猫遍歴について触れておこう。 かずは現在一人暮らしで何も飼ってはいない。 郊外の一軒家、動物を飼うには最適とも言える環境にあるため、時には依頼も来る。 「ウチの猫が子供産んだんだけど、もらってくれない? 一軒家だったよね? かずんちって」 しかしその依頼は、大抵の場合、すぐに前言撤回される。 「あ、やっぱやめとく!! アンタんちじゃ、猫ちゃん餓死しそう」 そう、自分の食事の面倒もロクに見られず、外食とカ🌕リーメイトに頼り、家には寝に帰るだけ。 家は開けっ放しでほとんど空き家状態にしている彼女に、動物が飼えるハズもないのである。 それが、野良猫パラダイスを生み出す主な原因なのであるが、ま、それはさておき。 彼女とて、動物は嫌いではない。むしろ好きだと言っていい。 ただし『好きで好きでたまらない』というような熱い思いがある訳ではない。 子供の頃から、ただ自然に、当たり前のように、色んな生き物たちはそこにいた。 呼吸をするように、生き物と触れ合ってきた経験が、かずの根底にはある。 家族と暮らし、かず宅にまだ生活の匂いが漂っていた頃。 かずはまだそれなりに普通の少女であった。 子猫や子犬を拾って来ては、 「ねえ~、絶対私が責任持って世話するから、飼って! 飼って!」 そしてお約束の三日坊主。 あとは祖母に任せっきりの、普通の少女であった。 自分の失敗を、猫になすりつけるのもいつものこと。 お正月の鏡餅のお飾りとなる、スルメと昆布。これが食べたくてしかたなかったかずは、餅の間から突出している部分を、毎日少しずつちぎっては、こっそり食っていた。 当然ある日気づかれる。 「あれっ!? スルメの足がなくなってる!! 昆布もえらく短くなってるな~?」 かずはそ知らぬ顔でうそぶいた。 「猫が食べたんでしょ!」 猫があんなにキレイにスルメの足だけ、昆布の先だけをちぎれる訳がない。 が、そこは子供の浅はかさ。 絶対バレバレだったはずだが、叱られた記憶はない。 けっこうおおらかな家族であった。 猫は代替わりしながら常時1~2匹はいた。 名前は、キジ柄のタマと、白黒のミミ。代替わりしてもずっとタマとミミ。 かずの家族はみな、けっこうズボラでもあった。
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