第1章

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いつ炎の女王が目覚めてもいいように、セレスティーヌは身心の準備を整えてきた。 蒼雪姫が蒼き雪を降らせるには、純潔を保たなければならない。 異性との交際が一切ない清らかな体でなければ、蒼き雪を降らせることはできないのだ。 手をつないだり腕を組んだりという程度なら、異性と接触しても大丈夫だ。 しかし、キスやそれ以上のことをすると、蒼き雪を降らせることはできなくなる。 蒼き雪を降らせることができなくなっても、何人(なんぴと)たりとも蒼雪姫を殺すことはできないが、寿命が尽きれば自然に老衰する。 過去に、蒼雪姫が禁を犯したことが何度かあるが、次の蒼雪姫が生まれるまでの三千間、炎の女王による殺戮と果てしない紛争の嵐が世界に吹き荒れるのだった。 セレスティーヌが17になる今日(こんにち)まで、異性との接触を厳しく禁じられてきたのはそのためである。
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