第2章

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きらめくシャンデリアが、広大な大広間を隅々まで照らしている。 大理石と孔雀石でできたその広間は呆れるほど広く、贅を凝らした造りだった。 どこからともなくいい香りが漂ってくるのは、壁際に飾られた無数の薔薇のせいだろう。 淡いピンクの薔薇が白い壁に映えて、華やかな雰囲気をいっそう盛りあげている。 薔薇の香に混じって鼻孔をくすぐるのは、フレグランスの甘い匂いだ。 ひそやかな話し声に絹ずれの音。 そして、ドレスやタキシードに身を包んだ大勢の貴族たち。 幅の広い螺旋階段を昇って大広間に足を踏み入れた途端、セレスティーヌはたじろいで、思わずリディアの顔を見た。 「大丈夫ですよ」というように頷いて、リディアはセレスティーヌの手を取り、しずしずと大広間の中央に進んだ。
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