第1章

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「姫さまもお気の毒ですよね。蒼雪姫(あおゆきひめ)としてお生まれになったばかりに……」 彼方へ視線を馳せて、リディアはしみじみとため息をついた。 その表情がどこか辛そうに見えたので、セレスティーヌは慌てて言葉をとり繕った。 「まぁ。あたしは自分の運命を呪ったことは1度もないわ。蒼雪姫としての使命も立派に果たすつもりよ。あたしの存在が世界を救うなら、むしろ嬉しいわ。別にいいのよ、それまで男の方と接触できなくても……」 それは、セレスティーヌの本心だった。 蒼雪姫として生まれたことも、異性と一切接触できないことも、不満に思ったことはない。 今年が例の三千年めに当たることも、多少のプレッシャーは感じるものの、それが自分の運命なら受け入れようと思っていた。 「それにしても、ここまで厳重に警戒しなくてもねぇ……」 リディアは、不服そうに眉をひそめた。
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