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俺はなぜ姉さんが震えているのかわからなかった
ただ姉さんは小刻みに体を振るわしていた
何か気持ちを押さえ込んでいるように見えた…
しかしそれはほんの一瞬ですぐに顔を上げると…
「そっか…そんなことがあったんだ…なんか…大変だったね」
「え?あ、あぁ…うん…」
思ったのと違う返事が帰ってきたので若干戸惑った
え?姉さん…いったいどうしたんだろう…?
「ね、姉さん…あの…」
キーンコーンカーンコーン♪
俺がなんでそんな微妙な表情してるの?と聞こうとした矢先に昼休み終了のチャイムがなった
「あ、もうこんな時間だったんだ…あははっ…話に夢中で全然気づかなかったわ…」
「え…あぁ…そう…だね…」
そう言う姉さんは笑ってこそはいるもののどこか引き攣っていた
いつもの男を骨抜きにしちゃうような美しすぎる笑顔はどこにも見えない
表情はかなり微妙な感じになっていた
でも目は…
まるで何かを決意したような…
そんなしっかりした目をしていた…
だけどその目は俺に嫌な予感しか与えなかった
聞きたかった…なぜそんな目をしてるのか…
どうしてそんな引き攣った表情なのか…
だけど姉さんを見てたらなんだか聞いてはいけないような気がした
「姉さん…」
「…なに?」
「えっと…お、お弁当は最近足りてる?」
「………うん…お母さんに抗議したからね…お母さんったら京ちゃんにあげる分が少なくなるーって…頑なに譲らなかったけど何とか押し切ったわ!」
結局真意を聞くことはできずに当たり障りのないことを言っていた
これでよかったんだと…なんとなく自分に言い聞かせた…
「そろそろ戻るわよ?授業始まっちゃう!」
「あ、うん!」
まさか…
あんな風になるなんて…
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