お互いの気持ちっ!恋と恐怖はどちらが勝つか…

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俯いて静かに抵抗していた俺はついに姉さんに怒鳴りつけようとした… が… 姉さんは…泣いていた… 「…………」 「……え…姉さん…」 姉さん…なんで? 泣いてる? 泣きたいのはこっちだよ… なんで…… そんな悲しい顔で泣いているのさ… 「……帰るわよ…」 姉さんは…力なく俺の腕を引っ張った… 少しでも手に力を入れれば簡単に振りほどけてしまうほど… それほど弱い力で… だけど俺は抵抗しなかった… いや、できなかったんだ… 姉さんの涙を見たのが久しぶりだから… 思い出したくもない… あの日以来だから… 宇佐美さんを置いてはいけない… 心ではわかっていた… 返事をしなきゃ… 俺の頭はそう言っていった 伝えなきゃ気持ちを… でも… 体が言うことを聞かなかった… 宇佐美さんは泣いていた… 声を上げて… その声を背中に受けながら… 俺は姉さんに引っ張られるがままに… いつもとなんにも変わらない自宅への帰路をゆっくりと歩いた…
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