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「俺…宇佐美さんのことが好きです…」
「……っ!?」
宇佐美さんはまんまるになった目をさらに丸くして俺のことを見つめ返してきた
まるで信じられないとでも言うように
「……え?え!?な、なんで?」
「なんでって言われると…す、好きだからって答えるしかないんだけどね…」
改めて好きって言うことに若干の恥ずかしさが…
俺は宇佐美さんから目をそらしてそう答えた
「そ、そうじゃなくて!」
「え?」
「い、いや…み、美春先輩が私のことよく思ってくれてなかったから…てっきりき、京太くんも断るために来たのかと思った…」
あ、そうか…
普通に考えればそうなるよね…
「そんなことないよ…俺は宇佐美さんのことが好きなんだ…たとえ姉さんに何を言われようともその気持ちは変わらないよ」
今度は目をそらさずにまっすぐに気持ちを伝える
すると宇佐美さんの顔を見る見るうちに赤く染めあげられていく
「ほ、ほんとに?」
「うん」
「う、嘘じゃないよね?」
「嘘じゃないよ」
「…………」
「……宇佐美さん?」
早口で問いただしてきたかと思えば急に黙りこくってしまった…
「…………」
「…どうしたの?」
やっぱり迷惑だったか?
そう思い始めた瞬間
「嬉しい!」
ギュッ!
っといきなり宇佐美さんが抱きついてきた
俺は一瞬で頭が真っ白になった
「えっ!?ちょっ!」
「嬉しい…嬉しいよぉ…」グスッ…
かすかに涙声でそういった…
泣いてる?
「う、宇佐美さん!?なんで泣いてるの!?ご、ごめん!」
頭が真っ白になった俺には彼女がなにを思って泣いているのか全く理解できなかった
「……ううん…イヤとかじゃないの…そんなんじゃなくて…ほんとに…嬉しくて…」
「う、嬉しい?」
「だ、だって…あんな別れ方したから…もう会話すらしてもらえないかもって…もう近づくことさえできないんじゃないかって…ずっとずっと…京太くんのこと想い続けて…想いを伝えられないまんまなんじゃないかって…」
そこまで言って抱きしめる力を強くする…
そんなに…不安にさせてしまったんだ…
なんだか急に申し訳ない気持ちになった…
そして俺は…
強く抱きしめてくる宇佐美さんの背中に手を回して抱き返した…
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