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「…ところでだ……母さん」
「なーに?」
「美春はどこだ?」
「美春なら自分の部屋に閉じこもっているわよ?」
「閉じこもっているだと!愛すべき父親のお帰りだというのに何をやっているんだあの娘は!」
怒った……
って思うじゃないですか?
「でも、そんなところも可愛い!」
「…………」
「……え?」
千代がポカーンとしてしまった
まぁ、そりゃそうだよね…
「よ~し、美春を目一杯愛でてこよう!」
そう言って立ち上がり姉さんの部屋に向かっていった
「…………え?」
「ごめんね…千代ちゃん、せっかくお客様がいるのにこんな人で…」
「いや、なんというか…美春先輩のこと…大好きなんですね…」
「溺愛し過ぎなくらいよ?」
「たしかに…」
みなさんもお察しの通り父さんは姉さんのことを溺愛し過ぎています
まぁ、それに対して姉さんは…
年頃の女の子ですから父からの愛情をあまりよろしくは思ってないようで…
閉じこもってしまうくらいです
でも、別に嫌いってわけではなく
ただ、愛でられるのが年齢的に恥ずかしいみたいです…
ちなみに、俺の知る中では姉さんの弱いところを見させてくれる相手は父さんぐらいです
かなり貴重ですよ?優位性を全く保てない姉さんの姿
「きゃあ!お、お父さん!なんで入って来れるの!?部屋に鍵かけておいたのに!」
「はっはっはっ!そんな鍵この俺が開けられないわけ無いだろう!どれだけの戦場をくぐり抜けてきたと思っているんだ」
「鍵のかかっている戦場なんてないでしょ!」
「しかし、父と娘の間に鍵をかけるなんてなんとけしからん!そんな娘には…」
「…え?」
「たくさん愛でて愛でて愛で倒す刑だ!」
「え!ちょ!ちょっと待って!お、お父さん!」
遠くから姉さんと父さんがやりあう声が聞こえる
「……あらあら」
「………なんか…ごめん」
「お、お父さん…すごいんだね…」
千代がちょっと…いや、かなり引いてる…
俺からもあえて言わせてもらいます
父さん、キモい…
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