夏休みっ!……の前にテストです

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夕暮れのアスファルト… 京太の家からの帰り道… 人通りの少ない閑静な住宅街… それでもすれ違う数少ない人たちは皆一様に私のことを不審そうな目で見る… 私は泣きながら家路についていた 激しい嗚咽を混じらせ、目には大粒の涙を浮かべ、グシャグシャになった視界で捉える道をふらふら歩く あぁ…醜いな…私… きっと京太はなんとも思ってない… 私があんなに意地の悪いことを言っても…明日も京太は普通に話しかけてくるだろう… むしろ謝られる… 悲しくさせてごめんとか…気が回らなくてごめんとか… きっとそんなことを言うだろう… 謝って欲しいんじゃないのに… 彼はいつもそうだった… いつも一人で抱え込んでた… 私達にいつも申し訳なさそうにしていた… そんな彼を支えたかったのに… 抱え込んで、周りばっかり見て、怯えてて、倒れそうなほどふらふらな彼の心を支えたかったのに… 私は自分のことで勝手に沈んで…勝手に傷ついて…勝手に怒って… 私…何がしたかったんだろう… これじゃ…付き合う前と何一つ変わらないじゃない… 気づいたら家の前だった… ドアを開けて中に入る… 自室ではなくリビングに足が向かっていった… ここなら…お母さんがいる気がした 一人になりたくなかった 「あら、おかえり」 私の顔を見て驚いた表情を見せたがまたすぐに落ち着いたいつもの顔に戻った… 「……なぁにー?京太くんと喧嘩でもしたのー?」 そういえば喧嘩したこともない… 京太から自分の意見を言うなんてことなかったから… 「お母さん…好きって…どういうことなのかな?私…京太のこと好きじゃないのかな?京太は…私のこと好きじゃないのかな…」 涙で顔をぐしゃぐしゃに歪めながら私はお母さんにそう言った 「ねぇ…千代…その涙はなに?千代はなんで泣いてるの?」 ……それは 「まぁ、そんなに泣いてたって何も変わらないわよ?もちろん、何か考えようと思ってもね」 「…………」 「とりあえず顔でも洗ってきなさい!シャキッとして忘れちゃいなさい!で、いつか思い出す時が来て思い出したらきっともう答えは出てるわよ!」 そんな…無責任な… 「とにかく京太くんに明日会ったら謝っておくのよ?こんなんで関係を終わらせたくないでしょ?」 「……うん」 「ウジウジ考えるのは後!わかった?」 私は小さく頷いた…そうするしか…ないみたいだったから…
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