期末テストっ!…補修は一体誰の手に!?

3/10
前へ
/226ページ
次へ
……なんて明るく振舞ってはいるが内心テストなんてどうでもよかった 理由の一つは千代の件で、だ あれ以降千代とは微妙な心の距離ができてしまっている いつもなら敏感に気付く凪や姉さんでさえ気付かないほど小さな距離 メールの返信も普段の会話も至って自然 けれどもあの朝に聞いた小さな一言がどうしても頭から離れなかった 「京太なんか知らない」と、そう確かに言われた その一言がどうしても離れなくて、俺もいつも通り振舞ってはいるが、心ここにあらずとはまさにこのことだ 千代も見た感じだと普段通り振舞ってはくれているので、チキンな俺が気にしすぎなだけかもしれない。 あの後幾度か二人で勉強もしたし、そのおかげで今回の成績なのだから千代には感謝しかない… だけどなんだかもやもやする… あの日、千代が体調が悪いと言って帰ったあの日 俺はもう一つ、気になったことができた 千代の件とは別で 初城さんのことだ 自分としては友人が増える分には嬉しいし、自分と仲良くしてくれるのは感謝しかない しかし、呼び方を変えてもらったあの日以降、気になる点がいくつかあった うちの家族は俺が幼い時から引っ越し等で家を変えたことはない それは母さんが変わってからも一緒だ 初城さんにお茶出しを手伝ってもらった際、ある程度うちの勝手がわかっているように行動する節があった それと、「京ちゃん」という呼び方 俺を今そんな風に呼ぶのは母さん以外にいない 今は、いなかった 昔小さなころ、今の母さんが来る前のころ 一人だけ たった一人だけ小学校のころ俺のことをそう呼ぶ女の子がいた 俺はその子の名前を文字ってを「ひーちゃん」と呼んで親しくしていた 小学校のころによくあるあだ名のつけあいで、漢字を見て付けた 小学校は違ったが、母さんが亡くなってから預けられるようになった児童館で知り合った子だ 幾度か家に招いて、父さんと俺とひーちゃんの家族とでお付き合いもしたこともある そしてその子が、その家族が、俺の忘れられない過去を作ることとなった… 初城さんはもしかしたらその子かもしれない そう思うと抜けない棘がもう一本、千代とは別のことでできてしまった感じだ
/226ページ

最初のコメントを投稿しよう!

662人が本棚に入れています
本棚に追加